石川県を中心として、富山県・福井県を商圏に「非破壊検査」「構造物点検」を行っている株式会社セイレイメンテックです。
今回は、非破壊検査のひとつ『放射線透過試験』についてお話をしておきます。
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放射線透過試験とはどのような測定方法?
放射線透過試験とは、『RT(Radiographic Testing)』と呼ばれる非破壊検査における測定方法のひとつです。
エックス線やガンマ線などの放射線が、物質を透過する性質と写真フィルムを感光させる性質を持つことを利用し、試験体に放射線を透過し内部の状態を撮影像としてフィルムに記録することで、試験体の内部きずの状態や内部構造を調査する非破壊検査方法です。
デジタルラジオグラフィ
放射線透過試験にはデジタルラジオグラフィ(D-RT)と呼ばれる、放射線の量をデジタル化した電気信号として取り出して画像化する方法もあり、代表的なものとしてコンピューテッドラジオグラフィ(CR)があります。
CRは、フィルムの代わりにイメージングプレート(IP)と呼ばれるX線検出器を用いて撮影を行い、読取装置でIPに記録されたX線画像データを読み取ることにより、撮影結果をデジタル画像として出力することが可能なシステムです。
特徴として、
- 撮影結果を画像データとしてPCに保存でき、データの活用も容易に行える
- 画像処理によって検査対象部位を観察しやすい画質に調整可能
などが挙げられます。
放射線透過試験の特徴
放射線透過試験の特徴には、
- 金属材料(溶接部、鋳鋼品)、非金属材料に適用できる。
- 放射線の進行方向に奥行きのある内部欠陥を検出しやすい。
- IP(記憶蛍光体)を使用すれば画像処理により画質の向上が図れる。
- 微小焦点のX線管を使用すれば拡大撮影が可能。
- 放射線を使用するので、取扱には有資格者が法令に基づき安全管理をしなければいけない。
などが挙げられます。
放射線透過試験の手順とは?
放射線透過試験は以下の手順で行ってきます。
- 試験体の外側に放射線装置を設置します。
- フィルムを装填したカセットを試験体の背後に密着させて設置します。
- 放射線を照射して適性な時間の露出をフィルムに与えます。
- その後、フォルムを暗室で現像処理します。
- 観察器でフィルムの濃淡模様から内在する欠陥を判断します。
放射線透過試験の対象物と目的
放射線透過試験の対象物となるのは、主に発電設備や、石油化学、ガス、土木建築などになります。表面・内部欠陥検出や厚さ測定、コンクリート構造物調査など幅広い目的に使用されることが多いです。
割れのような欠陥よりも,むしろ鋳物や溶接部における気泡や巻込みなどの検査に有効な方法として用いられます。
放射線透過試験のメリット・デメリット
放射線透過試験のメリットとデメリットも確認しておきましょう。
放射線透過試験のメリット
- 写真として残せるので、証拠として証明できる
- きずの有無・形状・大きさなどが、比較的誰が見ても分かりやすい。
- 探傷面の粗さなどに左右されない。
放射線透過試験のデメリット
- 放射線を使用するため危険性が高い。
- 一ヶ月前に労働局に届出が必要。
- 安全区域など人払いが必要。
- 作業人数がある程度必要。
- 現像が必要なためその場で欠陥の有無が分からない。
- 電源が必要となり、また携帯性が悪い。
まとめ
今回は、放射線透過試験についてお話をしました。
簡潔にまとめておくと、X線を利用して鋼構造物の溶接部、鍛鋼品、鋳鋼品、コンクリート構造物等、材質を問わず内面きずや欠陥の検出、内部状況の調査に有効な検査技法ということです。
弊社では、主に土木構造物、プラント設備、製品検査において非破壊検査を実施しております。検査において気になることやご質問に関しましては些細なことでも、お気軽にお問い合わせください。