石川県を中心として、富山県・福井県を商圏に「非破壊検査」「構造物点検」を行っている株式会社セイレイメンテックです。

今回は、非破壊検査のひとつ『浸透探傷試験』についてお話をしておきます。

浸透探傷試験とはどのような測定方法?

浸透探傷試験とは、『PT(Penetrant Testing)』または『LPT(Liquid Penetrant Testing)』と呼ばれる非破壊検査における測定方法のひとつです。

検査を行う対象物のきずや、亀裂のある表面に浸透性の高い液体を塗り、きずや亀裂に液体が浸透した後に表面の余分な浸透液を拭き取ります。

これにより、複雑な形をしているようなものでも一回の探傷試験であらゆる方向のきずを見つけるきっかけになりますから、表面きずの探傷においては非常に重要な検査方法です。

どのようなものに対応できる?

金属や非金属に関係ないので多くの材料が対象になります。

金属、非金属の素材製造分野から航空機、鉄道、自動車、船舶、化学プラント、電力・原子力プラント等の諸工業に至るまで、非常に幅広く活用されています。

ただし、木材や吸湿性のある多孔質材料など、探傷剤の液体を塗ることで腐蝕を起こしたり変色してしまう様な何か影響を受けてしまう材料に対しては適用が難しいです。

どのような探傷剤を使う?

非破壊検査における浸透探傷試験とは?

浸透探傷剤を行う際は、主に浸透液(P)、現像剤(D)、除去洗浄液(R)の3種類を行います。

中でも赤い色をした染色浸透液(Dye Penetrant)を使用した染色浸透探傷法と、蛍光発光を利用した蛍光浸透液(Fluorescent Penetrant)を使用する蛍光浸透探傷法の2種類があります。

弊社では、主に溶剤除去性染色浸透探傷試験 速乾式現像法をおこなっております。

その他、性質が異なる種類で以下のような浸透液も使用されます。

水洗性浸透液

浸透液の多くは基本成分に油を使用していることが多く、浸透させた後に余計な液を拭き取る(洗い流す)際に水で洗浄することが難しくなります。

そのような問題を解決するために、浸透液の成分にあらかじめ乳化剤(界面活性剤)を添加してある浸透液が水洗性浸透液になります。

溶剤除去性浸透液

こちらは先ほどと違い、油を主成分とした浸透液です。

余計な浸透液を拭き取る際には、水ではなく有機溶剤というものを使用します。

拭き取る際には、ウエス(機械類の油を拭き取ったり、不純物を拭き取って綺麗にするために使用する布)などで一度拭き取って、その後もう一度、有機溶剤の洗浄液を染み込ませたウエスで拭き取るなどの注意が必要です。

後乳化性浸透液

後乳化性浸透液は水洗性浸透液とは違い、乳化剤が添加されていない浸透液を指します。

浸透処理の後に浸漬するか、乳化剤を流しかけることで、乳化剤を余分な浸透剤に溶け込ませ、水洗性を得るタイプの浸透液になります。

現像剤

現像剤は無機質の微粉末が主成分で、そのまま使用する乾式現像剤、水に懸濁させて使用する湿式現像剤、粉末を溶剤に懸濁させてエアゾール缶に充填した速乾性現像剤など、いくつかの種類が分かれます。

浸透探傷試験の手順とは?

非破壊検査における浸透探傷試験とは?

浸透探傷試験は、次の手順から成り立ちます。

手順1-前処理

洗浄液を用いて、表面のほこりや汚れ、サビを取り除きます。

このようなものは浸透液の傷への浸透を妨げてしまうのでしっかりと綺麗にしておきます。

手順2-浸透処理

浸透液を表面に塗布し、きずに浸透させていきます。

スプレーや刷毛を使用したり浸透液を貯めたタンクに浸す方法と、状況や対象物によって分かれます。

手順3-除去処理

十分に浸透させた後に、表面の浸透液を取り除きます。

こうすることで、浸透液はきず内部だけに残っている状態をつくります。

手順4現像処理

現像剤を表面に塗布していきます。

現像剤を塗布することで、浸透液がきずの内部から表面に吸い上げられ、きずを拡大表示することができます。

手順5-観察・確認

現像処理を行って、現れたきずの模様を観察・確認します。

染色浸透液を使用した場合は明るい場所で、蛍光浸透液を使用した場合は暗い場所でブラックライトを照射して観察・確認をします。

まとめ

今回は、浸透探傷試験についてお話をしました。

一口に非破壊検査といっても検査方法はさまざまで、私たちも多くのものを使用して対応します。

弊社では、主に土木構造物、プラント設備、製品検査において非破壊検査を実施しております。検査において気になることやご質問に関しましては些細なことでも、お気軽にお問い合わせください。

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