石川県を中心として、富山県・福井県を商圏に「非破壊検査」「構造物点検」を行っている株式会社セイレイメンテックです。

今回は、非破壊検査のひとつ『磁気探傷試験』についてお話をしておきます。

磁気探傷試験とはどのような測定方法?

磁気探傷試験は、MTまたはMPT(Magnetic Particle Testing)と呼ばれ、鉄鋼など強磁性材料の表面近傍のきずを検出するのに適した探傷試験方法です。

非常に小さなきずを発見することが可能です。また複雑な形状の部位でも検査することができます。

一方で、オーステナイト系ステンレス、アルミニウム、銅などの磁石が付かない非磁性体の材料では検査することができず、鉄やニッケル等の磁石に強く引き寄せられる強磁性体にのみ適用することができます。

実際のきずの幅と比較し、数倍から数十倍の幅のきずによる磁粉模様ができ、容易に目視観察できずが検出できるようになります。

磁気探傷試験の原理とは?

非破壊検査における磁気探傷試験とは?

磁石を鉄片や鉄粉の中に入れると、両端部に多く付着し、中央部分にはほとんど付着しません。これは磁石の両端である、N極とS極(磁極)の吸引力が最も強いためです。

例えば、磁石を二つに切り、N極とS極を別々にしようとしても、新たにそれぞれにS極とN

極ができます。さらに、磁石に切れ目を入れるだけでも、切れ目の両側はN極とS極となります。この切れ目を入れた磁石に鉄粉をまくと、磁粉はN極とS極に集まりますので、両端だけでなく、切れ目にも鉄粉が集まります。

きずがある試験体を磁化した場合、先ほどの磁石の切れ目と同様に、きずの両側はそれぞれN極とS極になります。このため、磁粉を振りかけると、きずの周りに磁粉が集まり、きずの何倍もの大きさの磁粉模様が発生します。

さらに、磁気探傷検査では、蛍光物質や染料で着色された磁粉を使用するため、簡単に磁粉模様を見つけることができます。

磁粉探傷検査では、試験体を磁石のように磁化することにより、きずに磁極を発生させ、磁粉を吸着させて検査を行うという原理から成っています。

磁気探傷試験の手順は?

一般的に磁気探傷試験は、次に手順から成ります。

前処理

洗浄液を用いて、表面の汚れや異物を取り除きます。

対象物に汚れや異物が付着していると、きず以外の場所にも磁粉が付着してしまい、判別が難しくなります。

磁化

試験を行う対象物を磁化します。

日本工業規格(JIS Z 2320-2017)では以下の8つの磁化方法が規定されています。

  • 軸通電法……対象物の軸方向に直接電流を流す。
  • 直角通電法……対象物の軸に対して直角な方向に直接電流を流す。
  • プロッド法……対象物の局部に2個の電極(これをプロッドと呼ぶ)を当てて電流を流す。
  • 電流貫通法……対象物の穴などに通した導体に電流を流す。
  • コイル法……対象物をコイルの中に入れ、コイルに電流を流す。
  • 極間法……対象物又は試験される部位を電磁石又は永久磁石の磁極間に置く。
  • 磁束貫通法……対象物の穴などに通した強磁性体に交流磁束を与えることによって、対象物に誘導電流を流す。
  • 隣接電流法……電流ケーブルを対象物の表面と平行に、隣接して配置し電流を流す。

対象物の形状に最も適した磁化方法を選択します。

弊社では主に極間法(対象物又は試験される部位を電磁石又は永久磁石の磁極間に置く。)

磁化方法で検査を行っております。

磁粉の適用

試験面に、磁粉液をかけます。

磁粉の種類

きず部の磁極に磁粉を吸着させ、模様として検出する必要があるため、使用する磁粉はきず部の微弱磁界で容易に磁化され、磁極に吸引されやすいこと、すなわち吸着性能が優れていることが必要です。

また、形成された磁粉模様は識別性の高いことが要求されます。一般に磁気探傷で使用される磁粉には可視光下で使用する白、黒、赤などの非蛍光磁粉、蛍光発光を利用する蛍光磁粉があります。

磁粉を適用する場合に粉体のまま使用する乾式磁粉と、水や油に分散させて使用する湿式磁粉があります。

磁粉の適用時期

試験体への磁粉の適用時期は、磁化電流を流しながら磁粉を適用する連続法と磁化電流を切った状態、すなわち試験体の残留磁気を利用する残留法の二つの方法があります。

観察

きず部に付着した磁粉模様を観察します。できるだけ見やすい環境で行う必要があり、普通磁粉の場合はなるべく明るい場所で観察した方が見やすいです。

蛍光磁粉の場合は紫外線照射灯(ブラックライト)を用いるため周囲をできるだけ暗くする方が見やすいとされています。

後処理

磁粉探傷が終わった試験体はそのまま製品となる場合や、加工工程に送られ機械加工などを受ける場合があります。そのため必要に応じて脱磁、磁粉の除去、防錆処理などの後処理を行う必要があります。

まとめ

非破壊検査における磁気探傷試験とは?

今回は、磁気探傷試験についてお話をしました。

一口に非破壊検査といっても検査方法はさまざまで、私たちも多くのものを使用して対応します。

弊社では、主に土木構造物、プラント設備、製品検査において非破壊検査を実施しております。検査において気になることやご質問に関しましては些細なことでも、お気軽にお問い合わせください。

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